母乳はむし歯の原因にならないは本当なのか

「母乳はむし歯の原因にならない」という話を聞くのも事実です。
WHOや欧米の研究者の論文には、そのような記載が見受けられます。
しかし日本では、母乳が原因としか考えられないようなむし歯を、1歳6か月児歯科健診で見受けることが時々あります。

母乳はむし歯の原因に「なる」 「ならない」 はたしてどちらが正しいのでしょうか。
欧米の乳児と日本の乳児の生活ぶりを見てみると、答えらしきものが見えてきます。

欧米ではほとんどの子どもの授乳期間は1歳までで、それ以降も継続している子どもは少数派です。
一方日本では母乳を与えている場合、1歳以後も与えているというケースはかなりあるでしょう。
この違いが、母乳はむし歯の原因に「なる」か「ならない」の違いと考えられます。

母乳はむし歯の原因にならないと記載されている欧米の論文にも、「1歳以降の授乳はむし歯の危険がある」と注意をしているのです。
日本の子どもでも、1歳までにむし歯をつくってくることは、本当にまれなケースです。
それは、1歳未満の子どもは、寝ている間も唾液の流れがある程度あり、むし歯になりにくい環境が整っているためです。
1歳を過ぎると、寝ている間の唾液の量はかなり少なくなり、むし歯ができやすくなるのです。
乳児でむし歯ができるほとんどは、1歳過ぎでも授乳されている子どもたちです。

1歳を過ぎても授乳を継続するときは、夜間の授乳と市販の飲料やお菓子を与えないようにしましょう。
乳首をくわえさせたまま寝ていると、上の前歯の裏側にむし歯ができることがよくあります。(写真矢印)
寝てしまえば乳首を外すだけでも、むし歯ができる危険を少なくすることができます。

頻繁な夜間授乳や、早くから市販の飲料やお菓子を与えると、母乳もかなりのむし歯の原因になってしまいます。

下の写真は、夜間にも4回ほどの授乳のあった1歳4か月のお子さんです。
上の前歯の裏側がむし歯になっています。



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